お風呂の転倒防止は高齢者に何が先?手すりと滑り止めマット
浴室で高齢者が転びやすい場所として、まず押さえたいのは、洗い場の床と、浴槽をまたぐ瞬間の2か所です。
その2か所のうち、体重を預けて姿勢を支える動作が入るのは浴槽の出入りで、ここは滑り止めマットでは支えきれません。
手すりを先に用意して、床の滑り対策はマットで足す。
この順番が、お風呂の転倒防止を考えるときの土台になります。
本記事では、手すりとマットの役割の違い、浴室用マットのタイプごとの向き不向き、浴槽内と洗い場での選び分け、採寸と手入れの要点を解説します。

KAGUASHI編集部
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※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
お風呂の転倒防止は、支える物と滑らせない物を分けて考える
浴室で起きる転倒には、足裏が床の上を滑って姿勢を失うものと、片足を上げたときにバランスを崩すものがあります。前者は床面の摩擦を上げれば起きにくくなりますが、後者は摩擦をいくら上げても別の話で、手でつかめる支点がないと防ぎようがありません。
浴槽をまたぐ動作では、片足立ちの時間が1〜2秒あります。
その間、体を支えているのは上げていない側の足と、手でつかんでいる何かだけです。
浴槽の縁に手をかけて体重を預けると、濡れた縁で手が滑ります。
手すりが必要になるのはこの場面で、マットは床と足裏の間の摩擦を上げる道具なので、役割が重なりません。
そのため、お風呂の転倒防止でまず決めるのは、手すりを付けられる壁があるかどうかです。
壁の下地の強度や浴室の構造で後付けできないこともあるため、工事の可否は取り付け業者や管理会社に確認してください。
付けられない場合は、浴槽内に入れて高さを稼ぐ浴槽台や、浴槽の縁に挟み込むタイプの補助具といった別の手段を検討することになります。
手すりの選定には住宅改修の助成が関わる場合もあるので、介護保険を使う予定があるならケアマネジャーに先に相談してください。
浴室用マットの素材は、吸水タイプと樹脂タイプで前提が違う
浴室で使うマットには、洗い場の床に敷くものと、浴槽の中に沈めて使うものがあります。どちらも「滑り止めマット」と呼ばれて同じ売り場に並びますが、裏面の作りと想定している水の量が別物です。
洗い場に敷く樹脂タイプ
PVCや塩化ビニル樹脂、EVAでできた薄いマットで、表面に凹凸、マットの裏面に吸盤が並ぶ作りになっています。
使っている間ずっと水をかぶる前提なので、水を吸わずに流す構造です。
洗い場の床は石けんかすが膜になって滑りやすくなる場所なので、そこを面で覆う役目を持ちます。
浴槽の中で使うすのこ状・網状タイプ
浴槽の底に沈めて使うもので、網目やすのこ状に穴が空いていて、お湯が抜ける作りです。
浴槽の底は曲面で、しかもお湯に浸かった状態では足裏がほとんど抵抗を感じません。
立ち上がるときに足が前に滑るのを抑える目的で使います。
浴槽の底の形に合わないと浮いてくるため、底が平らに近い浴槽ほど収まります。
脱衣所に置く吸水タイプ
珪藻土(けいそうど)ボードや、ポリエステル・綿の布製バスマットがこれに当たります。
濡れた足で踏んで水を吸い取るものなので、浴室の中に置き続ける使い方には向きません。
常に水がかかる場所に敷くと、布製は乾く時間がなくなって臭いやカビの原因になります。
お風呂の転倒防止マットは、タイプ別に向いている人と向かない人
| タイプ | 敷く場所 | 構造 | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|---|
| 吸盤付き薄型(PVC・塩化ビニル) | 洗い場の床 | 表面に凹凸、マットの裏面に吸盤が多数 | 洗い場で足を踏み出すときの滑りが気になる人。表面が平滑なユニットバスの床に敷く人 | 凹凸のある床や目地の広いタイル床に敷く人。吸盤が密着せず浮きます |
| 厚手・クッション入り | 洗い場の床 | 発泡素材で厚みがある | 床に膝や手をつく動作がある人、介助で膝をつく人 | 浴室のドアの下に隙間が少ない家。厚みの分だけドアが当たります |
| すのこ状・網状 | 浴槽の底 | 穴あきでお湯が抜ける | 浴槽の中で立ち座りするときに足が前へ滑る人 | 底が丸い浴槽や、底に段差のある浴槽を使っている人 |
| 吸着シート・タイル状 | 洗い場の床 | 裏面の吸着加工で床に密着 | 排水口や形に合わせてカットして使いたい人 | 無垢材や特殊な表面処理の床に貼りたい人。変色することがあります |
| 珪藻土・布製バスマット | 脱衣所 | 水を吸い取る | 浴室から出た直後の床の濡れを抑えたい人 | 浴室内の滑り対策として使おうとしている人。目的が違います |
高齢者の入浴で使うなら、洗い場に1枚と浴槽内に1枚、場所ごとに別のものを選ぶ形が収まります。1枚で両方を兼ねさせようとすると、どちらかの条件に合いません。
お風呂のマットの裏面は、吸盤・吸着・置くだけで動き方が変わる
浴室用マットの裏面には、吸盤が並ぶもの、吸着加工で面として密着するもの、何もなく自重と凹凸だけで止まるものがあります。
吸盤タイプは平らでツルツルした床ほど密着しますが、床にざらつきや目地の溝があると空気が入って効きません。
吸着タイプは面で止まるので目地のある床にも馴染みやすい一方、床材によっては跡や変色が出ることがあります。
どちらを選んでも、マットの裏面に石けんかすや皮脂が付くと吸い付きが落ちます。敷いたままにして動くようになった場合は、製品の寿命ではなくマットの裏面の汚れが原因なので、裏返して洗ってみてください。
置くだけのタイプは、高齢者が使う洗い場では止まりにくい点に注意が必要です。
足を引きずるように歩く人、すり足になりやすい人が踏むと、マットごと前へずれます。
マットがずれたこと自体が転倒の引き金になるため、動く状態のまま使い続けないでください。
お風呂の転倒防止は?高齢者が滑りにくい浴室マットの選び方では、高齢者向けに確認したい表面の加工や設置の条件を解説しています。
失敗しやすいのは、マットのサイズを大きめに買って端が浮くパターン
浴室用マットのサイズは、洗い場の床にぴったり収まる寸法より少し小さめが扱いやすくなります。大きめを買って壁際で端が立ち上がると、その立ち上がりに足先が当たって、かえってつまずく形になります。
もう一つ起きやすいのが、排水口をまたいで敷いてしまうことです。
マットが水の流れをふさぐと、洗い場に水がたまって、かけ湯のときに足元全体が水に浸かります。
吸着シートやタイル状のものはハサミで切れる製品があるので、排水口の形に合わせて逃げを作ってください。
マットの厚みを増やす方向の失敗もあります。
クッション性を重視して厚手のものを選ぶと、浴室ドアの下端に当たって開かなくなったり、洗い場と脱衣所の境の段差が大きくなって、その段差でつまずいたりします。
厚みは「足元のやわらかさ」と「段差の増加」を引き換えにするものだと考えてください。
お風呂のマットを買う前に測るのは洗い場の実寸とドア下の隙間
測る箇所は3つです。洗い場の床の短辺と長辺、浴室ドアの下端から床までの隙間、浴槽の底の内寸(短辺と長辺)です。
洗い場の床は、壁から壁までの寸法をメジャーで測り、その数字から数センチ引いた寸法のマットを探します。排水口が隅ではなく中央寄りにある浴室では、排水口の位置も壁からの距離で記録してください。
ドア下の隙間は、床にメジャーを立ててドアの下端までの高さを読みます。
折れ戸や引き戸でもレールより上に下端があるので、同じ測り方でかまいません。
ここで測った数値よりマットの厚みが大きいと、ドアが引っかかります。
浴槽の底は、底面の内側から内側までを測ります。
底に向かって狭くなる形の浴槽では、縁の寸法ではなく底の寸法で合わせないと、すのこ状のマットが斜めに浮きます。
底にカーブや段差がある浴槽は、すのこ状のマットが浮きやすいため、このタイプは選ばないでください。
お風呂用マットの手入れと、替えどきの見分け方
毎日水をかぶる場所に敷くものなので、使い終わったら壁に立てかけて、マットの裏面まで空気が当たる状態にしてください。
敷いたままにすると床との間に水が残り、黒い点状の汚れが出ます。
週に一度は裏返して、吸盤や吸着面に付いた石けんかすをスポンジで落とすと、吸い付きが戻ります。
洗濯機で洗える布製バスマットは、裏面の表示にある洗濯方法を確認してから洗ってください。
替えどきの目安は、洗っても動くようになったときです。
吸盤が白く硬くなってへこみが戻らない、吸着面に触っても指が吸い付かない、表面の凹凸が平らにすり減っている、といった状態になると、元の止まり方には戻りません。
浴室用マットの寿命は毎日使う条件と製品の作りで変わるので、年数で決めるのではなく、踏んでみて動くかどうかで判断してください。
「抗菌」「防カビ」とうたう製品については、メーカーが加工内容を表示しているものがあります。
これは汚れや菌の発生を抑えることをねらった加工で、手入れをしなくてもカビないという意味ではありません。
乾かす手間は、どの製品を選んでも同じようにかかります。
よくある質問
手すりを付けられない浴室では、マットだけで足りますか
足りません。
マットが上げられるのは床と足裏の摩擦で、浴槽をまたぐときに手でつかむ支点の代わりにはならないからです。
壁に工事ができない場合は、浴槽の縁に挟んで固定する手すり、浴槽内に置いて縁との段差を減らす浴槽台、洗い場に置く入浴用の椅子といった、工事のいらない介護用品をケアマネジャーに相談してください。
洗い場用のマットを浴槽の中に入れても使えますか
水が抜ける穴がないものは浴槽内に向きません。
お湯の中でマットの下に水が閉じ込められ、浮いたり寄ったりします。
浴槽の中で使うものは、お湯が通る網目やすのこ状の穴があるかどうかで選んでください。
吸着タイプを貼ると、浴室の床に跡が残りますか
床材と貼っていた期間によって変わります。
ユニットバスの樹脂床、タイル、石材、特殊な表面処理の床ではそれぞれ結果が違うため、全体に貼る前に浴室の隅など目立たない場所で数日試してください。
賃貸なら、貼る前に管理会社へ貼ってよいかを確認してください。
100均の浴室用マットでも転倒防止になりますか
100均の吸盤付き薄型マットでも、洗い場の床が平滑で、床に合う寸法のものが見つかる場合は、床の滑り対策になります。
ただし取扱いは店舗や時期で変わります。
洗い場全体を覆いたい場合や、高齢者が毎日使う場所に敷く場合は、必要な寸法が出るかどうかを先に確かめてください。
入浴中にふらつきが出ます。マットを増やせば大丈夫ですか
マットは床の滑りに対する対策なので、ふらつきそのものには対応できません。立ちくらみやふらつきが続く場合は、入浴の方法を含めて医療機関に相談してください。
まとめ
お風呂の転倒防止では、浴槽の出入りを支える手すりと、洗い場や浴槽の底の滑りを抑えるマットで役割が分かれます。
手すりが付けられるかどうかを先に確かめて、そのうえでマットは敷く場所ごとに選ぶのが順序です。
洗い場なら吸盤付きか吸着タイプ、浴槽内ならお湯が抜ける穴のあるものを選び、洗い場の実寸・ドア下の隙間・浴槽の底の内寸を測ってから寸法を決めてください。
ぜひ本記事のタイプ別の比較表と、測る3箇所の手順を参考に、ご家庭の浴室に合う組み合わせを選んでみてください。





